I Wish You Would

Billy Boy Arnold


2004-03-29 MON.
ん?どこかで聞いたことあるタイトルだぞ?とお思いになった方も多いのではないでしょうか?
そう、あのヤードバーズも採り上げてるナンバーなのでございますよ。
ワタクシなんぞ、そっちのヴァージョンをリアル・タイムで聴いたクチでございますが、ホント、懐かしい遠い日々⋯それはいつのことかって?う〜、そりゃもう、う〜んと前、とだけ言っておきましょ。うぷぷ⋯

こちらのオリジナルでは、さすが Chicago 生え抜き(もっとも彼の親のほーは Georgia 州から来ていたようですが)の彼らしく、とってもホッピィなリズムに、これまたキャッチー(?)なハープのリフが乗って、Chicago らしい(なんてゆーと、一部の Chicago Blues フリークから異論をさしはさまれるかもしれませんが)都会的で硬質なサウンドになっているように思います(あ、これは、ミシシッピー・デルタ出身のブルースマンたちの音とは「ちょと」ちゃう、ってイミで、ヤードバーズと比べて、なんてこたあ「あり得ませんから」この日記じゃ)。

昨年の 8月12日付の日記でも、いささかメランコリックなマイナー・ブルース、I Left My Happy Home を採り上げました Billy Boy Arnold、本名 William Arnold はそのおりにも書きましたとおり Chicago 生まれの Chicago 育ち( b.1935, Sep. 16 )でして、そのハープは主に Sonny Boy Williamson I( John Lee Curtis Williamson、1914-1948。詳しくは11月26日付の日記をご参照ください)から大きな影響を受けているものと思われます。
が、ワタクシ、根がギターなもんで、ことハープに関しましてはあまりそのようなことを言い切る自信はございません。そこで、困った時の神頼みじゃないけど、こと Chicago に関しちゃあこの大センセ・・・うっぷす!そー言うと叱られるんだった、え〜、江戸川スリムさんとこの Sweet Home Chicago のページにもぐり込んでみたら・・・無いっ!Billy Boy Arnold が・・・
ま、タマにはこんなこともあるわな、と気をとりなおしまして、え〜、彼が直接に教えてもらったのは 2回だけで、三度目の訪問の直前に Sonny Boy は非業の死を遂げてしまったわけなので、むしろ放送やレコードで聴く Sonny Boy に「憧れて」いたのではないでしょうか?事実、インタビューで、Sonny Boy の全録音を「覚えている」と語っておりますよ。

もちろん、そればかりではなく、Sylvio のようなクラブで J. B. Lenoir、Little Walter、Jimmy Rogers や Johnny Johnes などの演奏に触れ、また若き Otis Rush とも出会っているようです。
でも、彼にとって大きかったのは、1952年にストリートで(?)知りあったひとりのギタリストだったでしょう。
その Ellis McDaniel ってのとバンドを組むのですが、その人こそ後の Bo Diddley でございます。名前がそーなったのは 1955年の Chess でのレコーディングから、と言われていますが、この I Wish You Would も録音されたのが同じ 1955年です。これも 8月12日付の日記で書いていますが、Leonard Chess が William Arnold をあまり評価してないようだ、と Bo Diddley が言ったので(たぶん、これって自分だけに集中してほしいから、他のレーベルに行かせようとしたんじゃないか?ってえ気もするんですが、それって「邪推」でしょか?事実、後に Leonard Chess は Bo Diddley のバックをつけてた Arnold に、キミも吹き込むか?なんて尋いてますから、評価してない、とか、あまり好きじゃないようだ、なんてのは Bo Diddley のウソだったんじゃないのかなあ。ただし、ここらのいきさつには異説もあり、現に Bo Diddley と同時に Billy Boy Arnold のナンバーも 2曲 Chess に吹き込まれており、そのうちの一曲が MCA の Chess Blues Box でようやく陽の目を見ています。もしかすると、その吹き込み後に Bo Diddley が例のヨケーなことを言ったのかもしれませんが)VeeJay と契約しています。

そして、その VeeJay でレコーディングしたこの I Wish You Would、地元局がヘヴィー・ローテーション扱いするほどのローカル・ヒットとなっています(ただ彼の初録音は 1952年に Cool というマイナー・レーベルに I Ain't Got No Money / Hello Stranger を吹き込んだものがあり、その時に彼の名前が Billy Boy Arnold となっているのですが、やはり子供っぽいルックスだったようで、15才に見られたんだとか。でも背は年の割に高かったらしいです)。
この時のバッキングについてはまだ資料が見つかってないのですが、Bo Diddley のバンドではなさそう。
ベースに、もしかすると弟の Jerome Arnold が参加しているのかもしれませんが、それもまだ未確認でございます(というのも、Prestige 7389 More Blues on the South Side ってえ VeeJay での 1950年代半ばの録音を集めた、と称するアルバムでは、ギター Mighty Joe Young、ピアノ Lafayette Leaks、ベース Jerome Arnold、ドラム Junior Blackman とする資料があるのですが、そのアルバムには、この I Wish You Would は「含まれてない」からなのですよ。
また、これも未確認ながらオリジナルの I Wish You Would には Henry Gray と Jody Williams が参加してる、という情報もあります。とすると、上記のアルバムとはまったく違ったセッションで録音された、と考えるべきでしょう・・・なんちて、どっかのサイトがもうカンゼンに究明してて、答え出てたりして?ま、実は、こーやって推理しつつあーだこーだ言うのを楽しんでいるワケで、解答じゃなく、ナゾのほーを見つけたがってる、ってのが真相なのですが)。

なお、Alligator ALCD 4815、Back Where I Belong に収録された I Wish You Would はたしかウェスト・コーストのバンドをバックに起用して 1992年に新録されたものです。
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