Fool For You

Billy Boy Arnold


2004-05-24 MON.



先日の Valerie Wellington の A Fool For You とは文字どおり、たったひと文字の違いですが、音のほーはこりゃもうエラい違いでございます。
安物のコーラス・エフェクトかけたようなエグいギターのリフで始まるこの曲は典型的な 12小節のブルース進行で、Night Life みたいなパターンの「あっち」とはだいぶ異なっておりますね。
ヴォーカルが入ってくると、これはまごうかたなき Billy Boy Arnold 節でウレしくなってしまいますよん。昨年 8 月12日付の I Left My Happy Home にどことなく似通った、いかにもな彼の独特なサウンドは「好き者」にとっちゃたまらんのですわ、これが。

ただし、ここでバックをつけているのはシカゴのミュージシャンではなく、The Taildraggers(ん?どっかで聞いた名前だな?と思ったアナタ、ちゃんと板もチェックしてるのね?エラいざます!そ、これはえどすりちゃまのシカゴ情報にあったブルースマン、Taildragger ってのと似てますねえ。でもそっちは個人の芸名で、かたや The という定冠詞に -s という複数形でもお判りのよーに、バンド名なのでございます)っちゅう Los Angeles に本拠を置くブルース・バンド(どーも資料が見当たらないんで、確証は無いんですが、白人じゃないか?ってえ気がすんですが)のようでございます。
メンバーは Zach Zunis のギター、Andy Kaukin のキーボード、Tom Leavy のベースに Lee Smith のドラム、と判ってはおるのですが、The Taildraggers っちゅうバンドの資料は、同じアメリカのブルース系ロック・バンドながら、もちっとハードでまったくメンバーがちゃう(しかも Tail Dragger と単数)別なバンドや、Too Slim ってえ、これまた白人のバックについてるちゃう The Taildraggers っての、さらにオーストラリアのメルボルンで活躍してる(たぶん)別なバンド、もひとつエゲレスはケンブリッジあたりで活躍してるらしーこれもモチ白人のブルースバンド Taildragger と、同じよな名前のバンドはどっちゃり出てくるんですがカンジンのこの Billy Boy Arnold のバックをつけてる The Taildraggers っての、さっぱ出て来ませんのじゃ。

ま、それはともかく、その Zach Zunis のフニャフニャしたギターに Billy Boy Arnold のソリッドなハープがからんで始まるこの曲ですが、彼のヴォーカルを活かす、という意味では「いい線」行ってます。のどかな彼のブルースは、どこかホっと和ませるものを持ってますねえ。
途中の Zach Zunis のギター・ソロあたり、ちょっとキッチリし過ぎで、そこだけやや硬直気味なのが惜しいとこですが、それでも Billy Boy Arnold の悠々たる唄いっぷりがホノボノと「良い」佳曲と言ってもよろしいのではないか、と。

この Billy Boy Arnold については前述の 8 月12日付の I Left My Happy Home の他に、今年 3 月29日付の I Wish You Would のとこもご参照くださいませ。

ところで先日(たって土曜日ですが)「ぷ」さんのお買い物にお付き合いしたついでに青森市のデパートでやってる某キー局の番組と連動したフェアに行ってまいりました。
モノによっては、ここが最後尾です、なんてプラカードを掲げたネエチャンが出てるほどの行列が出来てまして、ワシら二人とも並ぶのなんてヤなもんですから、行列の出来てないとこばっか見て歩きます。
こっちがまだ迷ってる間に、「ぷ」さんはどうやら仙台名物「ずんだもち」お買い上げしたもよう。

案内チラシが置いてあったので、それ見てみたら、ワタクシの好きな「ニュー・ヨーク・スタイルのチーズ・ケーキ」ってのがあるじゃないの!
おっ!なんて店だ?と思ったら「アンナ・ミラーズ!」⋯
うげっ、あのコスプレ・マニアが泣いて喜ぶってゆーあのアン・ミラ?
どこ?と見渡すまでもなく目の前にあったのですが、うひゃ、売ってるオンナのコ、制服でキメてるよう。こりゃあ買い辛いなあ⋯と、右手でなにやらアヤしー気配を感じてフと見ると、いましも、見るからに「おたっきー」な青少年がケータイ内蔵のデジカメでそのコをヒソカに狙っております!

うへ~!ウワサには聞いてたけど、ホントにそゆのがいるのねん?
ちょっと背中に「さぶいぼ」。

ここんとこ PRIVATE EYEの井上さんの「客席放浪記」をじっくりと読んでいるせいか、落語のライヴ(なんて言っちゃダメだよね)に飢えております。
でも、そこは「とーほぐ」の果てのかなしさ、どれ、今日はひとつ寄席にでも⋯なんて気楽に足を運ぶってワケにはまいりません。寄席なんて「無い」んですから!
ま、仕方がないので新聞のラ・テ欄で見つけた TVの落語番組を録画してみました。

場所と演目を言っちゃうと判るひとは判るでしょうが、この、イイノ・ホールで録画したとゆう「もう半分」、ワタクシにゃ初めての演目&噺家さんでございました(あ、でもしばらく落語から遠ざかってたもんで「初めて見る」だけで、ちゃんと知られてるひとだと思いますよ、たぶん)。
で、こんなふうに名を伏せて書いてる、ってのでごソーゾーがつくとおり、実はあまり「感心しなかった」のでございます。
ワタクシ、原則的には、実名を挙げて紹介すんのはホメるとこがある場合に、ってえ流儀で行っております。
それは、以前、とある方に、あるブルースマンの新譜の紹介を書いてもらおう、と思って原稿を依頼したところ、出来て来たの見たら、ボロクソにけなしてるんですよ。
そんな小言だらけのを渡されて、ホント悲しくなりましたね。
それを読んだときに思ったんですが、もう、ブルースについて一家言ある、なんてマニアより、これからブルースに触れてみたい、という人のほーが世の中にゃあ「絶対に」多いんですから、そんな人たちが一枚でも多くブルースを聴いてみたい、と思ってくれるよな紹介文でなきゃ意味が無いよ。
やはり、それに水をさすよなことしちゃイカンな、とね。

んなワケで、ホメる時以外は、匿名にしよう、と。
だって、そんな匿名でも判るひとってのはビギナーじゃないですから、(とハナシは落語に戻しまして)もう落語にハマっちまってるこってしょうから、いまさら興味が失せるなんて心配は無いですからね。
その録画しといた噺家さんの名は伏せておきますが、どうもその方には「江戸の落語」ってことで(こっちが勝手に)期待する「粋」なところが微塵も無いんですわ。
農家のおっさんが親戚の祝言に紋付羽織袴で出てきた、ってな風情でございまして、ま、それならそれで「夏の医者」あたりをお演りになるのでしたらさほど抵抗も無いのですが、それで永代橋袂の呑み屋を演じるとなると、いささかムリがあるように思えるのでございますよ。

酒を呑む仕草、煮た芋をいただく仕草、そのひとつひとつが垢抜けない!
酒も芋も、ちっとも美味しそうに見えない。
形態摸写としても未完成なとこに持ってきて、それで「ココロがほぐれて行く様」が「見えない」んですよ。

それはともかくとして、この噺自体、いささかムリもあるよな筋なんで、そこんとこ不自然と思わせないように丁寧に追い込んでいく必要があるよな気がするけどどうでしょう?
なんだか「もう半分」という呑み方をする理由の詰めも不充分だし、呑み屋の夫婦、特に旦那が最初、急いで追いかけようとする「人の善さ」があったのに、いくら言いくるめられたにしても、すんなり横領犯へ、と変わるとこの不自然さ。
そんな細かいことにゃ斟酌しない、みたいな、ある種の「鈍感さ」(とワタシには思えるもの)がつい目にちらついて、話に入っていけないまま終ってしまいました。

⋯あっと、いけない、井上さんみたいに常日頃、落語に親しんでいる方ならともかく、久しぶりに覗いてみたよなワタクシがエラそーに言うこっちゃなかったですね。お叱りをいただくかもしれません。

なまじ寄席に足を運ぶ機会に恵まれていないものだから、つい辛い見方になってしまったのかも。 期待が大きいだけに。
ところで、一箇所、局の操作でオーヴァー・ラップして間をはしょってるとこがありましたが、番組の枠に収めるために部分カットされちゃったんでしょうか。これだから落語はライヴが一番なのでございますよ。
それに前もって放送されると判ってましたらデンジャラスなネタは使えませんからマクラもおとなしくなりそうだし。
permalink No.760

Search Form